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かるぺでぃえむ。

就職前の人生夏休み謳歌なうな関西人

為末大さんの『諦める力』語録と少しの感想。



「最終的に目的に到達することと、何かを諦めることはトレードオフなのだ。何一つ諦めないということは立ち止まっていることに等しい」


「『どこで勝つか』より『何が勝ちか』をはっきりさせておくことが、自分が本当に勝ちたいフィールドでの勝利につながるのだ。
 それがわかっていないと、目の前のランキングを過剰に意識してしまう。そもそもあらゆるランキングは自分以外の誰かが設定したものである。つまり、自分でない誰かが『こうしたら勝ちだと認めよう』と言っているに過ぎない」


「人生とはこうしたトレードオフの積み重ねである。スポーツでのランキングを上げようと粘ることが、別の人生の可能性のランキングを下げてしまうこともある。このジレンマを解決するには、自分のなかにおける優先順位を決めるしかない。自分にとって一番大切なランキングは何かを決めるのだ」


「自分らしさなんて、初めからあるものではない。
 いろいろな経験が寄せ集められることで、だんだん築き上げられていくものだ。人生を振り返ったときに、結果的に『ああ、これは自分らしい選択だったな』と思うことはあっても、あらかじめ『これを選ぶのが自分らしい』ということはわからないことのほうが多いものだと思う」


「他人由来の幸福は、つまり移ろいやすい世の中の評価の中心に振り回され続けることになる。そして未来にゆだねた幸福は、ずっと追い続けて掴んだと思えば慣れてしまい、もっともっとと加速する。幸福は外や先になく、今ここにしかない」


「むしろ、何か一つだけ諦めないことをしっかりと決めて、残りのことはどっちでもいいやと割り切ったほうが、幸福感が実感できるような気がする」




現実を知ったほうがいい感じに生きられるよね、っていう話だと感じた。
でもそれは決して人生を「諦めている」訳ではなくて、むしろ勝利を追い求めるからこその思想。
「全てにおいて勝つ」ことはどう考えても無理ですもんね。


あと、「ランキング」の話や日本人が人の評価に沿って動きがちだという話は、
『嫌われる勇気』にも通ずるものがあるな、と何度か思いながら読んでいました。
というか自己啓発とかで言われるようなことって共通すること、すごく多いと感じています。



でも僕にとって受け入れがたい言葉もありました。

「『才能じゃない、努力が大事なんだ。』
 一見すると勇気づけられるこの言葉が、ある段階を過ぎると残酷な響きになってくる。この言葉は『すべてのことが努力でどうにかなる』という意味合いを含んでいて、諦めることを許さないところがある。挫折することも許されず、次の人生に踏み出すことのできない人を数多く生み出している」


たしかに、僕は本文に出てくる若い人の部類(23歳)です。 努力すればなんでもできると思っています。
しかし受け入れたくない一方で、そういう部分もあるなと認めざるを得ません。 才能、やっぱり存在しますよね。
それこそ上で書いた「全てにおいて勝つ」ではないですが、自分にとって向いている場所があるという認識をすれば良いのかなと思いました。



為末さんはお母さんに

「陸上なんか、いつだってやめていい」

と言われてきたからこそ、長く競技生活を続けられたと思っているそうです。


期待値を上げられすぎると、それに応えられない自分に苦しくなる。 そんな経験があるのですごく共感しました。
新しい見方というか、自分の価値観の幅を少し広げてくれるような、そんな本だったと思います。
本書の最後の言葉を引用して締めます。



「諦めるという言葉は明らめることだと言った。
 何かを真剣に諦めることによって、『他人の評価』や『自分の願望』で曇った世界が晴れて、『なるほどこれが自分なのか』と見えなかったものが見えてくる。
 続けること、やめないことも尊いことではあるが、それ自体が目的になってしまうと、自分というかぎりある存在の可能性を狭める結果にもなる。
 前向きに、諦めるーーーーそんな心の持ちようもあるのだということが、この本を通して伝わったとしたら本望だ」